
ASSET DIVERSIFICATION
富裕層はなぜ
「円だけ」で
資産を持たないのか?
資産を増やすことだけではなく、どこに、どの通貨で、どう持つか。富裕層の資産の持ち方から、「円だけに依存しない」という考え方を見ていきます。
INTRODUCTION
「富裕層がやってきたこと」を知りたくなる理由
資産のことを考え始めると、多くの人が一度は「実際に資産を築いた人たちは、何をしてきたのだろう」と考えます。そこには、「同じ考え方を知れば、自分も少しは近づけるのではないか」という気持ちがあります。
ただし、同じ行動をとれば同じ結果になるわけではありません。資産の規模、事業の内容、家族構成、リスクをどこまで受け入れられるか、そして時間軸が人によって異なるからです。
それでも、「資産をどう持つか」という考え方そのものは、規模に関係なく参考にできる部分があります。このページでは、その中でもよく語られる「一つに集中させない」という考え方を整理します。
DIVERSIFICATION
富裕層ほど「一つに集中しない」
資産形成の話では「何に投資すれば増えるか」が注目されがちですが、資産規模が大きくなるほど、関心は「どう分けて持つか」に移っていく傾向があると言われます。一つに集中していると、その一つの状況が資産全体を左右してしまうためです。
具体的には、次のような考え方です。
- 現金だけに集中させない
- 日本株だけに集中させない
- 不動産だけに集中させない
- 一つの会社だけに依存しない
- 一つの国だけに置かない
- 一つの通貨だけで持たない
これは「特定の資産が悪い」という話ではありません。集中しているかどうかを一度確認してみる、という視点です。実際の資産構成は人によって異なり、正解が一つに決まるものではありません。
WHY NOT ONLY JPY
なぜ「円だけ」で持たないのか
日本で生活していると、意識しなくても資産と生活が円に集中しやすくなります。給与や事業の売上は円で入り、預金も円、税金も円、生活費も円で支払うためです。
この状態は、日本国内で完結している間は特に問題として意識されません。ただ、海外旅行、留学、輸入コスト、海外サービスの利用など、円以外での支出が出てきたときに、「持っている通貨」と「使う通貨」がずれていることが見えてきます。
- 収入・売上が円に偏っている
- 預金の大部分が円建てになっている
- 投資先も日本市場中心になっている
- 支出だけが一部外貨で発生することがある
円を持つことが不利だという意味ではありません。日本で生活し、日本で支出する以上、円は必要です。ここで扱うのは「円だけに依存していないか」という点です。
ACCESS
「外貨を持つ」は、特別な人だけのものではなくなった
かつては、外貨建ての資産を持つこと自体が限られた人の選択肢でした。現在は、証券口座やオンラインのサービスを通じて、個人でも外貨建ての資産にアクセスしやすくなっています。
- 海外株式・全世界株式・米国株
- 海外ETF
- 外貨預金
- 金(ゴールド)などのコモディティ
- 海外不動産
- 外貨建ての保険や債券
アクセスしやすくなったことと、有利であることは別の話です。それぞれに価格変動や為替の影響、手数料、税務上の取り扱いがあります。商品性を確認したうえで判断する必要があります。
CURRENCY
円安で見えてきた「通貨を分けて持つ」という意味
為替が動くと、同じ金額を持っていても、海外での購買力が変わります。円安が話題になった局面で「通貨を分けて持つ」という考え方に関心が集まったのは、この点が生活実感として見えやすくなったためです。
一方で、外貨を持てば有利になるとは限りません。為替は円安にも円高にも動くため、外貨建ての資産には為替リスクがあります。円高に動けば、円換算での評価が下がることもあります。
つまり、ここでの論点は「円か外貨か」という二択ではなく、「一つの通貨だけに依存していないか」という点にあります。
PERSPECTIVE
見ているのは「何を買うか」だけではない
資産の話は「どの銘柄か」「どの商品か」に集中しがちですが、資産構成を考える際には、それ以外の観点も検討されています。
WHERE
どこに置くか
資産を保有する国や地域。制度や環境が異なります。
BANK
どの国の銀行か
口座を持つ国によって、通貨や使い勝手が変わります。
CURRENCY
どの通貨か
資産の評価も支出も、通貨の影響を受けます。
MARKET
どの市場か
投資先の市場が一つに偏っていないか、という視点です。
ENTITY
どの法人で事業するか
事業を行う法人の所在は、契約や請求の前提になります。
ACCESS
どこからアクセスできるか
居住地が変わったときに使い続けられるか、という観点です。
WHY OVERSEAS
なぜ海外を見るのか
海外に目を向ける理由は、人によって異なります。ただ、語られる理由を並べると、いくつかの共通した目的が見えてきます。
- 資産を一つの国・通貨に集中させないため
- 子どもの教育や進路の選択肢を広げるため
- 海外不動産を保有・運用するため
- 海外銀行口座を持ち、外貨での入出金手段を確保するため
- 生活拠点そのものを移す(移住)という選択肢のため
- 海外での事業展開や、海外顧客との取引のため
EARNING
「外貨を持つ」だけで終わらない人もいる
外貨を「持つ」ことは、すでに持っている資産の置き方の話です。一方で、事業をしている人の中には、そこからもう一歩進んで「外貨を稼ぐ」という発想を持つ人もいます。
たとえば、次のような形です。
- 海外の顧客に対して商品やサービスを販売する
- 海外企業に対してサービスを提供する
- 海外向けに請求書を発行する
- USDやAEDなど、円以外の通貨で売上を受け取る
外貨で売上をつくることが常に有利になるわけではありません。取引先の獲得、契約、決済手段、税務上の取り扱いなど、検討すべき点があります。事業内容によって現実的かどうかも変わります。
OVERSEAS ENTITY
事業家にとっての「海外法人」という選択肢
海外法人は、税金の文脈だけで語られることがあります。しかし実務上は、海外で事業を進めるための基盤という側面が大きく、次のような役割が検討されます。
- 海外顧客・海外企業との契約主体になる
- 海外向けの請求(インボイス)を発行する
- 外貨での決済を受ける手段を整える
- 事業用の銀行口座を検討する土台になる
- 事業に関連するVISAを検討できる場合がある
- 現地での取引や拠点運営の前提になる
一方で、海外法人はすべての事業者に必要なものではありません。日本法人のまま海外顧客と取引している事業者も多くあります。必要かどうかは、次のような条件によって変わります。
- 事業内容とサービスの提供先
- 取引先や顧客がどこにいるか
- 売上の規模と、その通貨
- 本人や家族の居住地
- 日本を含む各国の税務上の取り扱い
- 運営に必要な体制とコスト
税務上の取り扱いは、居住地や日本側の制度を含めて個別に確認が必要です。具体的な内容はUAE法人税・ドバイの税金のページで整理していますが、実際の判断にあたっては税理士等の専門家にご確認ください。設立にかかる費用や期間の目安は法人設立の費用と期間をご参照ください。
SUMMARY
円だけに頼らないという考え方
ここまで見てきた内容は、突き詰めると「選択肢を一つにしない」という一点にまとまります。
- 資産を一つの種類に集中させない
- 通貨を一つに集中させない
- 市場を一つに集中させない
- 事業の売上先を一つに集中させない
どこまで分散させるかは、資産規模や事業内容、リスク許容度によって異なります。まずは現状がどれくらい一つに寄っているかを確認するところから始めるのが現実的です。
NEXT
次に考えたいこと
「円だけに依存しない」という考え方の次に出てくるのが、「では、なぜ海外なのか」という論点です。資産の置き場所としての海外と、事業の場としての海外では、検討する内容が変わります。
拠点そのものを分けるという視点は、シリーズ第2記事の「富裕層はなぜ『一つの国』にすべてを置かないのか?」で整理しています。
事業として海外を考える場合は、法人設立、費用、税務、ビザ、生活といった要素を並行して見ていくことになります。以下のページで、それぞれの前提を整理しています。
FAQ
よくある質問
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UAE・ドバイで海外ビジネスを
考えている方へ
「海外で売上をつくりたい」「日本だけに売上を依存したくない」「海外法人が必要なのか知りたい」「ドバイで会社を作ると何ができるのか知りたい」——このような段階でもご相談いただけます。
事業内容や目的を伺いながら、そもそもUAE法人が必要かどうかも含めて一緒に検討します。
※本ページは一般的な情報を整理したものであり、特定の資産構成、運用成果、税務上の取り扱い、口座開設の可否を保証するものではありません。外貨建て資産には為替リスクがあり、制度や実務は変更される場合があります。実際の判断にあたっては、税理士等の専門家にご確認ください。